ドライアイ

ドライアイの基礎知識

ドライアイとはどんな病気?

ドライアイとは、涙の量が不足したり、涙の質が低下することによって、目の表面が乾燥し、不快感や視力低下を引き起こす病気です。涙は目を潤すだけでなく、細菌の侵入を防ぎ、目の表面を守る役割も果たしています。
ドライアイを放置すると角膜に傷がついたり、視力の質が低下したりすることがあるため、早めの対処が大切です。

ドライアイの主な症状

ドライアイの主な症状は以下の5つです。

  • ・目が乾いてつらい
  • ・ゴロゴロと異物感がある
  • ・視界がかすむ
  • ・光がまぶしく感じる
  • ・長時間のパソコンやスマホ使用で目が疲れやすい

これらの症状は軽度であっても日常生活に支障をきたすことがあり、目を開けているだけで不快感を覚えるようになるケースもあります。特に、長時間のデスクワークや空調が効いた室内では症状が強まりやすく、仕事や勉強の集中力を妨げる原因にもなります。
症状が慢性化すると、角膜の表面に傷がついたり、視力が低下したりするおそれもあるため、早めの対処が重要です。

原因と悪化の要因

ドライアイの主な原因と悪化の要因は以下の5つです。

  • ・加齢による涙の分泌量の減少
  • ・エアコンなどの空調による乾燥環境
  • ・コンタクトレンズの長時間装用
  • ・パソコンやスマートフォンによるまばたきの減少
  • ・ホルモンバランスの変化や膠原病などの基礎疾患

ドライアイは、こうしたさまざまな要因が単独または複合的に作用することで発症します。特に、現代ではパソコンやスマートフォンの長時間使用によりまばたきの回数が減り、涙が蒸発しやすくなる「VDT症候群」が大きな原因のひとつです。
また、更年期や甲状腺疾患などによってホルモンバランスが崩れると、涙の分泌が低下しやすくなることも知られています。環境や体調の変化がドライアイを悪化させることもあるため、生活全体の見直しが重要です。

ドライアイの検査と診断

  • ・シルマーテスト:涙の量を専用のろ紙で測定し、涙の分泌量を評価
  • ・BUT(涙液破壊時間)検査:まばたき後に涙が乾くまでの時間を調べ、涙の安定性を確認・角膜染色検査:目の表面に傷や炎症があるかどうかを、染色液を使って調べる
  • ・問診・症状チェック:生活習慣や職場環境、症状の頻度・程度などを総合的に評価
  • ・パソコンやスマートフォンによるまばたきの減少

これらの検査をもとに医師がドライアイのタイプや重症度を診断し、適切な治療法を提案します。

治療法と日常ケア

点眼薬による治療

ドライアイの治療では、まず人工涙液などの点眼薬を使用して乾燥を和らげます。ヒアルロン酸入りの点眼薬は保水力が高く、目の潤いを保つのに役立ちます。
さらに、涙の分泌や質を改善する薬が処方されることもあり、これらは症状の改善だけでなく、角膜や結膜のダメージ予防にも効果的です。

涙点プラグや特殊治療

点眼薬だけではドライアイの改善が難しい場合、涙の出口に小さな栓(涙点プラグ)を入れて涙を目にとどめる方法があります。また、まぶたを温めることで油分の分泌を促進し、涙の蒸発を防ぐ「温罨法」も有効です。
最近では、光治療(IPL)を応用してマイボーム腺の機能を改善する先進的な治療も一部で導入されています。

生活習慣で気をつけること

  • ・1時間ごとに画面から目を離し、まばたきを意識的に行う
  • ・室内の湿度を保つために加湿器を利用する
  • ・コンタクトレンズの使用時間を守り、必要に応じて眼鏡と併用する
  • ・目をこすらないよう注意する
  • ・アイメイクによりマイボーム腺機能を障害していることもあるため、ドライアイ症状のある女性は濃いアイメイクを控え、メイク落としの際にアイシャンプーなどを使い瞼の縁を清潔に保つ

生活習慣の見直しは、ドライアイの予防と改善において非常に効果的です。特に、長時間のパソコンやスマートフォン使用中は意識してまばたきをすることが重要です。まばたきは涙を目の表面に行き渡らせる役割があり、頻度が減ると乾燥が進行します。
また、室内が乾燥していると涙が蒸発しやすくなるため、加湿器の使用や観葉植物の設置などで湿度を保つことも有効です。コンタクトレンズの使用時間を守ることや、適切なレンズケアも症状の悪化を防ぐポイントです。瞼の縁やまつげの根元を清潔に保つことも重要であり、アイシャンプーなどの使用もおすすめです。日常の小さな工夫が、目の快適さを守ることにつながります。

ドライアイと向き合うために

ドライアイを放置するとどうなる?

ドライアイは初期の段階では軽い不快感で済むこともあります。しかし、放置すると角膜に傷がつきやすくなったり、視界がぼやけて読書やパソコン作業が困難になったりすることもあります。
また、目の表面のダメージが慢性化すると、視力そのものにも悪影響を与えるおそれがあるため、できるだけ早く治療を受けるようにしましょう。

定期的な受診の重要性

ドライアイの症状が軽減したと感じても、自己判断で治療を中断するのは危険です。ドライアイは慢性疾患であり、季節や体調によっても状態が変化します。
定期的な診察を受け、症状に応じた治療を継続することで、快適な視生活を維持することができます。また受診する際には、症状の変化や生活環境についても詳細に医師に伝えることで、より適切な治療方針が立てられるでしょう。